映画『エクス・マキナ』を観に行ってきました.
海外での公開は2015年1月からなのですが、なぜか日本ではなかなか公開されず、そのうち存在を忘れてしまっていました.しかし、今朝電車に乗っていて下高井戸駅のホームにある「下高井戸シネマ」の広告欄に「エクス・マキナ」のポスターが貼ってあったのを見て、さっそく観に行ったというわけです.あとで調べたら6月から各地の映画館で公開が始まっていたようです.チェックが甘いですね.
世界最大の検索サイト会社に勤務する主人公、ケイレブ.社内の抽選に当選し、社長であるネイサンの別荘に1週間滞在する権利を得る.しかし、そこは単なる別荘ではなく、研究施設でありAIの研究が行われており、女性型ロボット、エヴァが開発されていた.ケイレブにはエヴァが人間と同様の知能や感情を有するかのテストが任され…… というのが大まかなあらすじ.
舞台が自然に囲まれた別荘であり、別荘での登場人数(ロボット含む)はわずか4人.エンディングのスタッフロールを見てもキャストに名前が挙がっているのは10人だけと、ここまで登場人物の少ない映画は初めて見ました.
別荘はカード認証システムによって立ち入りが厳重に管理されており、人数の少なさも相まって密室的な要素もあります.
ケイレブとネイサンという人間同士、ケイレブとエヴァ、ネイサンとエヴァという人間とAIの対立、なにが正しいのか、そして主人公すらも自分がもしかして人間ではないのではないかと苛まれて変調をきたし始める、というような話は非常に好きなので楽しんで見ることができました.
高度にハイテクな技術がテーマとして扱われているわりには、各部屋のアクセス管理がカードキーのみで顔認証すらなかったりと(もちろんそこが要因となって話が展開するのですが)、ちぐはぐな部分がやや気になる面もありました.あと、あんまり書くとネタバレになりかねないですが、ロボット三原則はここには存在しないようです.
ところで、この映画のようなAIや機械、ロボットと人間との関係を扱った話になると、日本と欧米など諸外国では180度正反対ともいえるような展開になることが多いということが以前からよく指摘されていたりします.
日本ではわざわざ例を挙げるまでもないほど誰もが知っている鉄腕アトムやドラえもん、大型のものではマジンガーZやらガンダムなど、アニメや漫画で人間のパートナーとして描かれるキャラクタが非常に多いです.結果として、大学などの研究施設ではアトムを作りたい、というようなモチベーションで研究をする人が多いと聞いたことがあります.
翻って外国では侵略者や破壊者、もしくは仕事など自分たちの居場所を奪うもの、としてロボットが描かれることが多いです.「新スタートレック」にはアンドロイドとしてデータ少佐が登場しますが、ストーリーの最初のほうやゲストとして登場するキャラクタからは冷淡な扱いを受けているところが何度も出てきます(途中からは欠かせないパートナーとしてクルーの大切な一員として扱われますが).
こうした彼我のAIやロボットに対する見解の差異がこの映画でも感じられます.
別荘での登場人物の一人であるキョウコですが、ソノヤ・ミズノという日系イギリス人が演じており、ケミカル・ブラザーズのPVにも出演しています.その映像はモロにエクス・マキナの影響を受けているように見えます.