2016/11/19

『この世界の片隅に』

Category: 映画 — Annexia @ 21:51

 立川シネマシティに映画『この世界の片隅に』を観に行ってきました.

 前評判がとにかく高く、しかしながら主人公「すず」の声を担当した、のん(能年玲奈)の所属事務所に関係するいざこざからメディアにとりあげられる機会が少なく、上映館も少ないようです.とはいえ、公開開始から徐々に話題になってきた感があり、立川シネマシティでも上映開始直後は空席もあったようですが、自分が見た回は満席でした.
 なお、主人公の声は、のんで正解だと思いました.主人公のおっとりとしたゆるめのキャラクタによくあっています.

 あらすじをざっと紹介すると、広島で生まれ育った主人公「すず」が呉に嫁ぎ、暮らしていく様子を戦前・戦時中・戦後を通じて描くというような話です.
 戦争の悲惨さやつらさをことさらにとりあげているのかと思いきやそうではなく、あくまですずののんびりとした生活が主軸であり、時代の流れに伴って生活が変わっていく、というくらいの感じです.もちろん、戦争と距離を置いたところで生活をしているわけではないのはいうまでもなく、時代が進むにつれて親族を失ったり主人公も五体満足というわけではありません.しかしそうした部分を強調するのではなく、なにがあろうと生活をしていくというところがメインテーマになっています.

 戦争、とくに太平洋戦争での本土空襲などを扱ったような映画は苦手という人もいるかと思いますが(自分がそうです)、あくまで戦争のあった時代をどうにかこうにか、ときには面白おかしく生きていく人たちを描いた話ですので、見てもらえたらと思います.上映中も客席から笑いが起きるようなシーンがいくつもありました.とてもオススメです.

 (以下、ネタバレを含む個人的な話です)

 個人的なことを書きます.
 昔から太平洋戦争、とくに空襲や原爆の話をされるのが苦手でした.親からは「はだしのゲン」を読むように言われ、小学校から国語の教科書では空襲の話とかが毎学年に入っている.戦争の悲惨さ、二度と繰り返さない、そうした感情を植え付けるための教育なのでしょうけど、自分が生まれる前のことでリアリティも感じられないし、さして興味のない時代の話を押し付けられても反発心しか出ないわけで、国語とかで戦争を扱った物語が出てくると早く終わらないかなと思ったものです.しかもそのくせ、社会の授業で日本の歴史を学ぶ段になると近代史は駆け足でさらっと流しておしまい.おいおい、法隆寺の柱がギリシア文化のエンタシスを受け継いでとか時間をかけてやるよりも、太平洋戦争とかのほうが重要じゃないのか?とか思ったり.
 しかし、高校生になり学習に自由度も出て、小学生の頃よりは多少なりとも考える能力が上がってくるとこの辺の意識も少しづつ変わってくるものです.自分が受けていた国語の先生はやや変わっていて、とにかく自分の頭で考えること、文章を読んで感想をきちんとまとめる能力を養うことに重点を置いていました.感想文をとにかく書かせ、他の生徒の書いた感想文を紹介するなど、多面的な思考はそうした部分で養われた感があります.
 また、高校の修学旅行では広島に行き、原爆資料館で焼けただれた様々な物体や、「ここに人が座っていました」という石段に残された影を見て非常に大きな衝撃を受けました.原爆が落とされる瞬間まで、ごく普通の生活をしていた市井の人々のリアルさ、そして原爆投下によりすべてが変わってしまったこと.小中学生でいやいや授業を受けていたものというのはこういうことだったのかと.いや、今でも小中学生で学んだ内容よりも嫌だなという思いの方が強かったりはしますけど……

 『この世界の片隅に』は、その市井の人々の生活が主人公「すず」を中心に描かれています.戦争が始まって食べ物がだんだん手に入らなくなって配給制になったり、空襲の回数が徐々に増えてきて防空壕を掘ったり.そういう世界でまあいろいろ大変だけれども生きていくのがなによりも大切、そういう映画です.
 広島や呉を舞台にした話なのでもちろん原爆も出てきます.しかしながら原爆そのものの描写よりも、ちょうどお母ちゃんが街に出てて、それをお父ちゃんが探しに行ったんだけど見つからなくてねぇ、お父ちゃんもすぐになんか病気で死んじゃってさ、私も病気になって床に臥せっていることが多くてねぇ、アザとかあってさ…… みたいな感じでさらっと描写されるわけで、そのほうが心をえぐられるのです.

 押し付けられるように戦争とかの話を国語の授業でやらされていた小学生の自分にこの映画を見せたらどう思うだろう、やっぱり反発心を持つかなぁ、でもちょっとは見方が変わるかもしれないな、なんてことをちょっと思ったりしました.

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