『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(原題:The Man Who Killed Don Quixote)を観に行ってきました.
「構想30年、挫折9回」と銘打たれているように、以前から企画や制作がされているという話を断片的に入ってきつつも、頓挫したというニュースも入るなど、もはや完成はされないのではないか、テリー・ギリアムが天寿を全うするのが先なのではないかと思っていたのですが、なんとかこうして無事に完成できました(当初構想していたものとは違うものに仕上がったようですが).
上映する前からカルトな映画であることは明らかであり、上映館も東京都内でさえ4館(日比谷、新宿、池袋、立川)と少なく、最寄である新宿はミニシアター系なので混雑するかなと思って(カルト映画はコアなファンが多いですし)、海老名のTOHOシネマズに出かけてきました.150人ほど入るところで3-4割は入っていたので、思っていたよりも多いかなという印象でした.
—(ここからネタバレ的な要素を含む文章が入ります)—
主人公は映画監督(この時点でぐちゃぐちゃな展開が予想されます)で、スペインで撮影を行うもまったくうまくいかず、頭を抱えていたところに物売りから以前に自分が制作した「ドン・キホーテ」のDVDを入手します.自分が滞在しているところがかつての撮影をした場所にほど近いことに気づき村に向かってみると、自分が映画を撮った影響で村の人たちの生活は一変していた…… というのが基本的なストーリーです.
ドン・キホーテ役に起用した靴職人の老人は自分がドン・キホーテ本人であるという妄想に取り憑かれ、ヒロインとして起用した食堂の娘は映画監督の言葉を鵜呑みにして俳優で生計を立てるべくバルセロナに行くも落ちぶれて悲惨な生活を送り、そしてそれらに映画監督自身も巻き込まれていくという、テリー・ギリアムらしい現実と二重三重の妄想が入り乱れた作品です.現在と過去、妄想や幻覚、複数の宗教観、さらにはロシアンマネーがからみあい、観ていてももはやどれが現実なのかすらわからなくなるほどの混乱ぶりでした.
混乱した世界を理解すべくもう一度観てみたいような気もしますが、観たら観たで余計に混乱しそうな気もします.
一般的なかたにおすすめできるかといえば首を横に振らざるを得ないですが、テリー・ギリアムの撮った過去の映画やモンティ・パイソンが好きなのであればたぶん楽しめるでしょう.