F1ドライバーの小林可夢偉が来季のシート獲得に向けて、「KAMUI SUPPORT」というWebを立ち上げて募金を募っています.
モータースポーツ自体、一般的なオリンピック競技のようなスポーツと呼ばれているものと比べて若干の差異があるものではありますが、F1はその最高峰に位置するものだけあって、際だった違いがあります.
他のスポーツはもちろん、他のモータースポーツと比べても、F1は非常に大きな開発費用等のコストが発生するのです.車体に使われているパーツもカーボンに代表されるようにコスト度外視で軽量なものを使用しています.また空気抵抗を軽減するために「風洞」とよばれる施設を使って実験を繰り返すなど、開発資金はいくらあっても足りないほどです.
そのため、資金調達が非常に重要となり、F1ドライバーもチームに資金を持ち込むべく企業各社を回ってスポンサードを要請するなど、「走る」こと以外のことも要求されます.
これらの結果、他のスポーツでは考えられない奇妙な現象が発生します.速いドライバーよりも資金調達力のあるドライバーが優遇されるのです.もちろん優勝にからむようなトップクラスのドライバーは別ですが、中間クラス以下や売り出し中の新進ドライバーの場合はチームに資金を持ち込むこともF1シートを獲得するための一つの要素となっているのです.
小林可夢偉は昨年、今年とザウバーチームで活動してきました.トップクラスではなく、資金的にも厳しいチームですがファンを魅了するような素晴らしい走りを見せてきました.ですが、来季はザウバーのシートを失うことが確定的になっており、現状はシートは決まっていません.
「速く走ることでシートを得ることができる」と、可夢偉はスポンサー獲得の交渉よりも走りを磨くほうを優先してきましたが、この状況としては資金を持参することが非常に大切な要素となってきています.
しかしながら、いまの日本はモータースポーツにぽんと資金提供できるような余裕のある企業は皆無なのが現状です.そもそも、本来であれば可夢偉はトヨタF1で活躍するのが筋であったのですが、トヨタは撤退してしまっています.
そこで、可夢偉は資金を得るために「募金」という方法をとりました.それが「KAMUI SUPPORT」です.
11月22日の受付開始から1週間程度で1億円を超える募金がすでにあり、昨日11月30日現在で1億2千万円を超えたそうです.一口1万円以上と高額ではありますが、これだけの応募があったというのは、それだけ可夢偉に期待しているファンが多いということなのでしょう.自分も一口ではありますが支援させていただきました.来季も活躍しているところを見たいですからね.