つづきです.
前日は満腹のあまり温泉にも入らず眠ってしまったので、6時に起きて温泉へ.
木造の旅館なので、もちろん脱衣所も湯船もすべて木製で風情のある温泉でした.
RICOH GR
夕食は部屋食でしたが、朝食は広間で.
旅館の朝食に焼き魚が出てくるのは定番ではありますが、ここは三陸.サンマが一匹まるごとです.朝食前に部屋にいて、焼き魚の匂いがするなと思っていたら宿泊客の人数分のサンマを焼いていたわけなのですね.
旅館を出たところでちょっとしたトラブルが.エンジンをかけようとしたところ、スターターノブが回りません.
ロードスターのキーは無線通信式になっていて、鞄の中にでもキーがあればエンジンをかけることができるのですが、どうやら電池切れなのか通信がうまくいかずにロックがかかってしまったようです.なので、非常用手段としてスターターノブを外してキーを直接差し込んでエンジンを始動しました.それ以降は旅行中にエンジンがかからなくなったことがないので、原因は不明です.1年くらいで電池切れになるようなのでそろそろキーの電池を交換したほうが良さそうです.
旅館を出て、きたときとは反対方向の山道を数キロ走ったところで国道45号線に出ました.
この国道45号線は三陸沿いに仙台から青森までをつなぐ主要道です.
しばらく走ったところで海が見えてきました.そして道路標識に「ここから過去の津波浸水区間」なる表示が.この看板、三陸沿いに移動している間に無数に出てきました.道路は段差もあり、ダンプカーなどの輸送車両もたくさん走っています.
一般道とは違うところに綺麗な舗装がされているところがあるなと思ったら、それはJR東日本が運行している「BRT」でした.気仙沼線の路線は橋脚などの多くが流されてしまい、復旧まではかなりの年月を要します.そこで代替輸送手段として、使用可能な鉄道路線部分やトンネルを舗装して専用路線としてバスを走らせているのです.
最初に見えてきた街は南三陸町でした.平地にたっていたであろう建築物はそのほとんどが焼失し、雑草の生えたがらんとした土地だけが広がっていました.あるのは復興商店街の建物や仮設住宅、そしてコンビニ.どれもがプレハブです.
国道45号線から少し離れたところに、映像で見覚えのある南三陸町の庁舎の鉄筋だけが見えました.テレビの映像で見たあの建物が現実として視線の先にあり、2年半前にここで起きた出来事のことを考えるといたたまれない気持ちになりました.
RICOH GR
南三陸町を抜けて気仙沼市に入り、国道45号線をはずれて市街地をしばらく走った先、鹿折唐桑駅近くには打ち上げられた漁船がありました.このまま震災を象徴するものとして遺すかどうかが検討されていましたが、辛い記憶を呼び戻してしまうとのことで解体が決定した漁船です.すでに船の周りにはフェンスが設置され解体工事が始まっていました.
震災を象徴するものの一つとして知られており、また解体が始まったのがニュースになったこともあってか、ひっきりなしに人が訪れていました.
RICOH GR
道路を挟んだ反対側には仮設店舗のセブンイレブンがありました.
RICOH GR
再び国道45号線に戻り、北上すると陸前高田市に到着.
かつては高田松原として松林が見事な景観を誇っていた海岸も、あの1本の松を残して様変わりしてしまいました.
駐車場が用意されているのですが、一本松まではしばらく歩きます.そしてその歩いている周囲はすべて防潮堤の再建など復興工事現場なのです.
RICOH GR
正直なところ、訪れるまでは「奇跡の一本松」を残すということにやや懐疑的でした.
松の木として残るのであればそれは手放しで喜ぶのですが、すでに壊死したものを特殊加工して設置するなんて、と.
しかし、実際に現地を訪れてみて認識が変わりました.津波ですべてを持って行かれたなか、一本だけ残った松が住民にもたらした希望や復興への想いを.周囲はまだ荒涼とした土地が広がり、重機がせわしなく動いている状況ですが、いずれ復興を果たしたときにその記憶を遺す存在として重要なのだと.
さらに北上すると大船渡市に入りました.
大船渡といえば「かもめの玉子」というお菓子.震災の時、ここのかたが撮影した、大船渡の街が津波にのまれている映像が非常にインパクトがあったことが思い出されます.
国道45号線沿いに、そのさいとう製菓のお店があったので、会社土産用に期間限定の栗のかもめの玉子と、自分で食べるためのゆべしや単品売りのかもめの玉子を購入しました.綺麗な店舗だったのですが、あとから調べたら仮店舗なのだとか.
RICOH GR
釜石に向かう途中、「道の駅さんりく」で「浜どこラーメン」をいただきました.塩ラーメンにホタテやカニ、エビ、貝や海藻などの海産物が入った塩ラーメンです.出汁がきいてて美味しかったです.
RICOH GR
釜石からは内陸に向かって移動.
途中、「道の駅 遠野 風の丘」でごまとバニラのミックスソフトクリームをいただきました.デッキに出てみると、景色の良さに感動しました.
遠野は河童伝説のあるところですが、それもなるほどと頷けるほど自然が残されているところでした.
RICOH GR
展望デッキのすぐ近くに線路があり、時刻表を見ると数分で釜石行きの列車がくるので少し粘って撮影してみました.
海沿いの路線は大きな被害を受け、暫定措置としてBRTで運行されたりしていますが、内陸部から三陸に向かう路線はこの釜石線や、盛岡から宮古に向かう山田線が運行されています(山田線は宮古からの三陸沿いは運休中).
この日は北上で宿泊しました.
さらにつづきます.